雨が降った後の地面の匂いを、「ペトリコール」と呼びます。この言葉は1964年にオーストラリアの科学者が命名したもので、ギリシャ語の「石(petros)」と「神々の血(ichor)」を組み合わせた造語です。香水の世界では、この匂いを再現しようとする試みが長く続いています。
ペトリコールの化学的な成分 ¶
ペトリコールの主な成分は「ゲオスミン」という化合物です。土壌中の放線菌が生成するもので、人間の嗅覚はこの成分に対して非常に敏感です。ごく微量でも感知できます。香水では、ゲオスミンを直接使用するか、近似した匂いを持つ合成香料のアコードで再現する方法が取られます。
Pierre Griseでの使用方法 ¶
Morningside Cairnの「Pierre Grise」では、ペトリコール調のアコードを中心に、ガイアックウッド(グアヤク木から得られる木質系の香料)とラブダナム(シスタスの樹脂)を組み合わせています。ガイアックウッドの煙を帯びた木質感が、濡れた石の冷たさと対比を作ります。ラブダナムは乾いた後の温かみを加える役割を担っています。
場所の記憶を香りに変換すること ¶
Morningside Cairnのフレグランスは、特定の場所や瞬間の記憶を出発点にしています。「Pierre Grise」はパリのリュ・ド・ビュシの朝、「Figuier de Septembre」はフィレンツェ近郊の9月の無花果畑です。場所の記憶を香りに変換するとき、調香師は実際にその場所を訪れ、何が匂いの構成要素になっているかを分解するところから始めます。
ペトリコールの香りは、多くの人が「懐かしい」と感じる匂いの一つです。「Pierre Grise」のサンプルで、その再現をお試しいただければと思います。